世界自然遺産に登録された、手付かずの自然が残る「小笠原諸島」。東京都心から南に遥か約1000kmの太平洋上に浮かぶ島々は、美しい海と貴重な動植物の宝庫で、ダイバーや秘境好きの憧れの地ともなっています。一度は行ってみたいけどどうやって行けばいいの?空港はあるの?どれくらい時間がかかるの?そんな小笠原初心者にもわかりやすく、交通アクセスをまとめてご紹介したいと思います!
「小笠原諸島」って知ってる?
名前は聞いたことあるよ。船でしか行けない東京の離島だよね。
うん、東京都心から船で24時間かかるんだけど、1年を通して来島者が絶えない人気の島なんだ。
丸1日もかかるんだね!でも快適な船の旅なら、その時間もワクワクして楽しそうだね。
そうだね。じゃあ、早速どんな旅の始まりになるのか、小笠原への交通アクセスを調べてみよう!
まずは小笠原諸島、父島・母島のことをご紹介!
東京都心から約1000km南に位置する「小笠原諸島」は、30余りの島々の総称。現在、人が住んでいる島は父島と母島だけで、父島は人口約2000人、母島は約450人の小さな島です。小笠原諸島は誕生以来、一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島のため、多くの固有種や希少種が生息・生育し「進化の実験場」とも呼ばれています。2011年には世界自然遺産に登録されるなど、世界的にも貴重でかけがえのない自然の宝庫です。主な産業は、観光業やパッションフルーツ・マンゴー・レモン・トマト等を生産する農業、シマアジ・マダイ・マグロ類などの漁業となっています。亜熱帯に属する小笠原諸島は、年間を通して気温の変化が少なく、過ごしやすい気候です。冬でも最低気温が10度を下回ることはほとんどありません。5月・11月は降水量が比較的多いですが、梅雨前線は小笠原より北に現れることが多いため、本土のような梅雨はないと言われています。
小笠原諸島の楽しみ方は様々あり、海のアクティビティだと、1年を通して野生のイルカに出会えることからドルフィンスイムが人気です。また、国内屈指のホエールウォッチングポイントでもあるので、季節によりザトウクジラやマッコウクジラなど見れる確率も非常に高い島になります。陸のアクティビティには、大自然を歩きながら楽しめるトレッキングツアーや、緑に光る不思議なキノコ「グリーンペペ」などが見れるナイトツアーも人気があります。
小笠原諸島では「アカバ」と呼ばれる、ハタ科の高級魚「アカハタ」が島民によく食べられていて、旅行客にも大変好評です。アカバの味噌汁、1尾まるまるの唐揚げ、煮付けなど、様々な料理方法で食べられています。
父島・母島共にキャンプや野営は禁止されているので、必ず宿泊施設を予約していきましょう。往復の船と宿泊がセットになったツアーがおすすめですよ。
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船しかない!?小笠原諸島へのアクセスをご紹介!
現在、小笠原諸島へのアクセスは、東京・竹芝~父島・二見間を結ぶ旅客船のみ。小笠原海運が運行する「おがさわら丸」という船に乗って片道24時間の船旅です。おがさわら丸が発着する竹芝客船ターミナルは、下記が最寄りの駅となります。
①JR 浜松町駅北口から徒歩約7分
②東京モノレール 浜松町から徒歩約10分
③地下鉄 大門駅から徒歩約8分
④ゆりかもめ 竹芝駅から徒歩約1分
竹芝客船ターミナルには喫茶店や売店もありますが、あまり広くはありません。隣にある「ニューピア竹芝サウスタワー」内にも、レストランやコンビニが入っているので、これらを利用する方も多く見かけます(1階が第二待合所でもあります)。また、港側には広々としたボードウォークがありますので、乗船前に潮風に吹かれながら海や客船を眺めて散策することも出来ますよ。
「おがさわら丸」は”おが丸”の愛称で親しまれていて、2016年7月に就航した現在の船は3代目の”おが丸”。黒潮を横切る外洋航路を通るため、横揺れ防止装置のフィンスタビライザーを装備し、揺れを大幅に軽減しています。通常期は週1便のみですが、GW・夏期・年末年始などの繁忙期は週2~3便の運航となります。そのため、小笠原旅行は往復の船中2泊+現地3泊の5泊6日が基本です。島の人はこの期間を「1航海」と呼び、2週間滞在するなら「2航海」となります。旅行会社のツアーは基本1航海の行程で組まれているものがほとんどです。片道24時間もかけていくのだから、予算とスケジュールに余裕があれば、2航海でゆったりと滞在し、島時間を満喫したいですね。
おがさわら丸の乗船券は、一斉発売日(GW、夏季、年末年始)を除き、東京出港日の2か月前の同日午前9:00から、東京発便とその直後の父島発便を同時に発売します。ただし、その日が土曜・日曜・祝日の場合はその翌日となります。
船室タイプは6種類!予算に合わせてお部屋を選べます
おがさわら丸の船室は6つの等級に分けられています。部屋数の少ない個室タイプの1等室~特等室は、まるでホテルの客室のような充実した設備があり、予約が取りにくい人気の船室です。特2等~2等和室は二段ベッドや大部屋の船室で、比較的予約が取りやすくなっています。船室によって利用料も大幅に変わるので、予算に応じて選んでくださいね。
◆2等和室(エコノミー)全296床
最も料金が安い、カーペット敷きの広い大部屋です。頭の部分に間仕切りがあるので、横になってしまえば隣の人も案外気にならなくなるようです。頭上の棚には荷物を置くことができます。レディースルーム、ファミリールームもあり、安心して利用できます。ダイビングや島の観光にお金を使いたい!そんな料金重視の方におすすめです。
◆2等寝台(エコノミーベット)全250床
上下2段ベットが対面になっていて、4ベットで1ユニットが基本です。コンセント付なので、充電にも困りません。女性専用ユニットのレディースルームもあります。少人数のグループ、ファミリー、女性グループなどにおすすめです。2等和室に3000円程度プラスすれば、プライバシーが確保された空間で眠ることができるので、安い船室がいいけれど大部屋では心配という方はこちらを選ぶことが多いようです。
◆特2等寝台(プレミアムベッド)全178床
上下2段ベッドが基本ですが、上段同士か下段同士だけが対面する作りになっているので、カップル、夫婦、女性同士など2名利用の方におすすめです。テレビとコンセント付で、長い船旅でも快適に過ごせます。レディースルームの設定もあります。料金面と、ベッド前の通路にあるカーテンでプライバシーも守られるため、人気の船室です。
◆1等室(スタンダード)全39部屋
シングルベット2台(幅90cm 長さ200cm)の個室で、広さは8.8平米。テレビ、電気ポットなどアメニティも充実しています。窓もあるので、海を見ながら部屋でゆっくりできますね。個室のため、周りを気にせず2人で過ごしたい方におすすめです。
◆特1等室(デラックス)全24部屋
シングルベット2台(幅90cm 長さ200cm)、ソファベット1台の3名定員の個室で、広さは19平米とゆとりある空間。バス、トイレ、テレビ、冷蔵庫、空気清浄機付き。窓際にはゆったり座れる椅子とサイドテーブルが設置されていて、まるでホテルのような雰囲気漂うラグジュアリーなお部屋です。
◆特等室(スイート)全4部屋
キングサイズベット1台(幅180cm 長さ200cm)の2名定員の個室です。バス、トイレ、テレビ、冷蔵庫、空気清浄機付き。特等室の宿泊者限定で利用できる、専用ラウンジや専用デッキがあり、専用ラウンジでは、マッサージチェアー、ドリンクサーバー、水素水給水機などすべて無料で利用できます。豪華な船旅を楽しみたい方、新婚旅行など特別な旅行をされる方におすすめ。部屋数が少なく人気の船室のため、非常に競争率が高いお部屋です。
船内の設備も充実していて、快適な船の旅が楽しめる
快適に船での時間を過ごすためには、船室以外の設備も重要ですよね。ここからは、船室以外にどんな船内設備があるのかご紹介します。船内では、なんと「suica」などの交通系電子マネーも利用できますが、船内ではチャージできませんので、事前のチャージをお忘れなく!
◆展望ラウンジ 約70席
小笠原諸島の海をイメージしたラウンジです。どなたでも自由に利用でき、軽食・喫茶の営業も行っています。窓からは、太平洋の大海原や小笠原諸島ならではの眺めを楽しむことができます。ドリンクやおつまみ、デザートも充実しているので、小腹がすいたときやちょっと一杯にも最適です。
◆レストラン 約130席
豊富なメニューを取り揃えていて、朝食・昼食・夕食いずれも食べることができます。オムライスやハンバーグなどの定番メニューに加え、島塩ラーメンも美味しいと評判!麺類は800円~、セットメニューは1000円~と、良心的な価格で食べられるのも嬉しいですね。人気の島レモンチューハイもこちらで購入することができます。
◆売店「ショップドルフィン」
島のお土産やおがさわら丸の限定グッズが販売されています。お菓子や飲み物、カップラーメンの販売もしています。※船内では酔い止め薬の販売はしていませんので、持参することをおすすめします。
◆授乳室・キッズルーム
船内には授乳室とキッズルームもあり、小さなお子様連れでも安心して利用できます。
◆シャワールーム
各階に設置されていて、備え付けのアメニティ(ボディーソープ・シャンプー等)やドライヤーも用意されています。シャワーの数は限られていますので、混雑する時間帯を避けて上手に利用してくださいね。
◆その他
大部屋でも安心の貴重品ロッカーや、大海原を眺められるスカイデッキもあります。他には酒類・飲料・ホットスナック・カップラーメンなどの自動販売機や給湯器、電子レンジなども揃っていますので、ぜひ利用して、快適な船の旅を楽しんでくださいね。
ははじま丸に乗って、母島にも行ってみよう!
父島からさらに船に乗って母島へ行く事もできます。母島は人口約450人の小さな島で、父島から「ははじま丸」で約2時間の船旅です。ははじま丸は、事前予約ができませんので、「ははじま丸客船待合所」で、出港当日・出港時間の約1時間前から販売される乗船券を購入する必要があります。繁忙期でも満席になって乗れないということはほぼありませんので、安心してくださいね。ははじま丸は、12~5月には、航海中に「ザトウクジラ」が見られることもあり、別名ホエールライナーとも呼ばれています。母島に日帰り可能な便に乗れるのは、父島到着の翌々日。約4時間の滞在となります。いわゆる1航海で訪れた場合、1回しかチャンスがありませんので、スケジュールを立てる際は気を付けてくださいね。青い海と深い森があり、固有の動植物が多い母島。船で合計26時間かかるため、日本で一番遠い島といわれています。小笠原に行く際は、父島よりもさらにのんびりとした母島の雰囲気も楽しんでみてはいかがでしょうか。
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24時間の船旅は大変そう…でも行ってみたい♪
父島を自家用車で観光できたら便利だけど、船には車も乗せられるのかな?
おがさわら丸はカーフェリーじゃないから、自動車や126cc以上のオートバイは、基本的には一緒に積めず、貨物扱いになるんだって。
それじゃあ、島内の移動はどうすればいいのかな?
ほとんどの宿泊施設が、港への送迎をしているよ。それに父島では村営バスが2ルート走っているよ。
地元の人たちに混じって、バスを使うのも楽しそうだね。
父島・母島ともにレンタバイクを使うのも便利だよ。父島にはレンタカーやタクシーもあるから、好みに合わせて選べそうだね。
小笠原諸島へツアー行くツアーを見る 写真提供:小笠原村観光局