三角点
正式名称は「二等三角点富士山」。剣ヶ峰山頂部の一角にあります。
三角点とは地図製作のための三角測量の際、緯度・経度・標高の基準とした点のこと。明治〜大正にかけ、日本全国の5万分の1地形図を作成するため、見晴らしの良い山頂などを中心に日本中に三角点網が整備されました。
三角点候補地には僻地も多く、中には埋設に大変な困難を伴うものもありました。その模様を描いたのが、映画にもなった『剱岳 点の記』。原作者・新田次郎は富士山にもゆかりの深い人物です。気象庁職員時代に富士山頂気象レーダーの設置工事に携わり、その苦難を小説『富士山頂』で描いています。なお、レーダーは三角点のすぐお隣、富士山測候所に設置されていました。
富士山の三角点は1890年(明治23年)に山頂・剣ヶ峰に設置されています。付近の案内板によれば、2002年(平成14年)再測量時の標高は3775.63メートル。四捨五入すると3776メートルです。
ところで富士山は日本一なのに、なぜ山頂三角点は一等ではなく二等なのか?これには理由があります。
全国の一等三角点網はそれぞれの距離が約45kmを目安に整備されています。そして測量精度の向上のため、周囲の一等三角点同士はできるだけ高低差をなくす必要がありました。…ということで、標高の高すぎる富士山は一等三角点には不適当だったようです。
富士山頂部にはこのほか、白山岳にも三角点があります。こちらも二等三角点。